あたたかいベッドから出るのが惜しくて寝返りを打つと、しゃらりという音がした。なんだろうと辺りを見るそのたびにまた、しゃらり。涼やかなその音は自分の動作とともに鳴っている。ベッドから身を起こして体を点検していくと、左の足首に見覚えのないアンクレットがついていた。窮屈ではないけれど、金具はペンチでぐしゃりと潰されている。
これは、取れない。
さらに見ていくとシルバーのチェーンにはエメラルド・グリーンがそっと散らされていて、そういやあ寝ているうちにペディキュアを塗られていたこともあったなと目を細める。石のひとつひとつを撫ぜるたび、しゃらり、しゃらりと音がする。
しゃらり、しゃらり、しゃら、しゃらり、しゃら、カチャリ。
おはよう。そう言って笑いかけるトーニョの目は、どこか、叱られるのを待つ子どものようで。ふふ、ばかだなあ、こっちへおいで。これが愛だというのなら、このままベッドに繋がれたって、お前を咎めやしないのに。




彼の愛と俺の欲と



どこまで受け入れられるのか。どこまで許されてしまうのか。
ためしたいとは思わない。
けれどひとつ受け入れられるたび、枷はひとつずつ壊れてく。