「なぁアル」

「なんですか?」

可愛らしく首を傾げた鎧に、ジャン・ハボックは上官に向かって ギャンギャンと吼える鋼の錬金術師を見ながら続けた。

「お前の兄貴ってさぁ」

一拍おく相手を急かすこともなく相槌を打つこともなく、大体の 場合において温厚な性格をしているアルフォンス・エルリックは 黙って次の言葉を待った。

「結構人見知りで、遠慮しぃだよな」

続けられた言葉に(彼が生身の体を持っていたならば、きっと) 目を少し見開いて、それからゆっくりと微笑んだ。

「ええ、そうですね」

きっと周りだけでなく本人でさえも否定するだろうことを、
鋼の錬金術師でなく軍の狗でなく最年少国家錬金術師でさえも ないただのエドワード・エルリックを知る彼らは笑顔で話した。