十代目十代目と、それこそ忠犬のように盲目的に慕ってくれる彼を思う。 彼の、オレに対する敬愛はとても純粋でまっすぐで、疑うことを知らない。 けれどたとえば彼がオレに会う前、あのいかにもそっちの世界で生きてる 男を見つけていたら、あの男を十代目候補として見つけていたら、彼は、 どうしただろうか。
オレみたいなひょろくて弱くて情けない、ボスの器じゃないと誰もがそう 判断するようなやつを彼が慕う理由。それは、言ってしまえば偶然による 勘違いに過ぎない。あるいは、リボーンの存在。それだけ。
彼が、堅気じゃないと誰もがそう判断するようなあの男に、ぼっこぼこに されていたら。そうしたら今頃彼は、あの男の下で、最初に会った頃より もっと冷たい目をして、人を殺していたんだろうか。今オレに向けている 感情を全部あの男に捧げて、十代目と呼んで。

いやだなぁ、と。
そう思った真意が、どこにあるのかは知れない。



仮定法でしか語られない現在