ごぷり、と。慣れてしまった違和感は、違和感と呼べるんだろうかとか、 そんなことを思いながらゆっくり、ゆっくり身を起こす。出すとこしか出て いないような状態でしたから、体だけじゃなく服も清めないと。委員会で どろっどろになってたし。制服の代え、あったっけ。
痛みが、ひどくなくなったのは、いいことなのかな。
風呂、まだ開いてるよな。っていうか、空いてるかな。たまに潮江先輩 とか綾部先輩とか、何の気まぐれか学園長とか、七松先輩も、こんな 時間に入ってるから。空いてると、いいけど。
しかしあの人の体力ほんと無尽蔵だな。委員会活動をけろっとこなして (しかも途中からはシロと金吾を両脇に抱えて、だ)こっちの体力なんか 一つも回復してないのに俺にちょっかい出してきて、それで今はきっと 鍛錬でもしてるんだろう。連れ込まれるのは決まってこの部屋なのに、 気をやった俺が目を覚ましたとき、決まってあの人は姿を消している。 カタンと開けた戸の向こうには墨のような夜空に白い月が輝いていて。 それをなんとなくぼうっと見ていると、汗が幾筋か頬と首を伝って、服に 吸い込まれて、消えた。



違和感と倦怠感と諦観


汗と涙の区別もつかないのかと、笑い飛ばす人はいなくて
ああ、月がきれいだなぁ