近頃の委員会活動の熱心さには目を見張るものがありますね。
食堂に入ろうとしたまさにそのとき、ぴりりとした声が響いた。その声の 持ち主など顔を見なくてもわかる。我らが鉢屋先輩だ。食べ終えた盆を 両手で支え、いまだ食事を続けている中在家先輩の背後に立っている ということは、先ほどの言葉は中在家先輩に投げられたものだろう。
ぼそぼそと、ここからは到底聞き取れやしないが、中在家先輩は何か 言葉を返したのだろう。鉢屋先輩は僅かに表情を歪め、ごちそうさまと 盆を返して足音荒く食堂を去っていった。三郎癇癪起こすなよとそれを 追うのは竹谷先輩で、ああそういえば不破先輩がいない、と思った。

翌日召集された委員会はわざわざ召集する意味があったのだろうかと 思えるほどいつも通りのんびりしたもので、先輩も昨日のぴりりとした 空気はどこへ置き去ったやら、ぱりぱりと煎餅をかじっている。
昨日の食堂でのことですが、単刀直入に聞くと小気味よく続いていた 咀嚼音が少しだけゆっくりになり、やがて止んだ。見られていたとは、 恥ずかしいなと悪戯っぽく笑った先輩がゆるりと線を引いたのを、僕は 感じた。けれども見えない、ふりをする。
きり丸が最近眠そうにしているんですが、不破先輩もですか?
おそらくここが、線のちょうど真上だろう。先輩は完璧なまでにいつもと 同じ顔をして、休み時間も放課後も書庫に篭っているからなぁ、心配に なるくらい熱心だと笑った。
先輩は、本当に不破先輩を大切に思われてますね、そう笑った僕は、 先輩の目にどう映っただろうか。完璧な笑顔は崩れない。





ばっかり
さみしいくせにと僕は言わない。