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そう多くない、元々持ってきた荷物だけをまとめるために、それほど時間は かからなかった。ただ、そのへんから拝借したものや、・・・・もらいもの、を、 どうしようかと30秒ほど、考えて、考えて、全て、置いて行こうと、決めた。 最後に1つ1つ手に取り眺める。黒板消しの1つでさえも愛しい。どうしよう。 手に取る1つ1つに、この3ヶ月の日々が詰まっている。くるくると走馬灯の ように思い出される記憶の全てに映りこむ、ただ1人の存在には、気づいて いない、ふりをして。 別れも告げずに出て行くこと、怒るだろうか、悲しむだろうか、それとも何も 感じない? 隣の部屋は沈黙を保っている。きっともう寝ている。あれほど 疲れきっていたのだから、当然。もう、悪夢は、見ないだろうし。夜毎大切な カレーを奪っていく人間も、いなくなるのだから。 窓を開けて荷物を落とす。さすがに銃器の類もまとめて、っていうわけにも いかないから、それらは抱えて飛び降りた。ガシャンと、重たい音がする。 真夜中に、その音は良く響いた。誰も起きてこないといいけど。 荷物を抱え直して、よいしょと壁を乗り越えた。これほど簡単に越えられる 壁なのに、閉じ込められたような気になっていた。その気になればこんなに 容易く出られるのに、外の世界をリアルに想像することもできなくなってた。 いつかの俺が見た景色をお前にもきっと見せてやると言ったのに。 思い出す、全ての光景にはお前がいたよ。この3ヶ月、馬鹿みたいにずっと 一緒にいたわけでもないのに。その理由を、考えたくないと思うのは、逃避 だろうか。(これが遺跡の中なら何処までも逃げ切って見せるというのに!) |