|
「ちゃおっス」 「じゃねーよセンセー・・・」 先に見たときよりはずいぶんと低くなった書類の山に挟まれたツナが 泣き言を漏らす。威厳を絶やすなっつってんのにこのバカは。 「なんでこのデジタルなご時世にこんなアナログな作業!」 「結局信用されるのはサインと実印なんだぞ、諦めろ」 「いやだぁー」 サラリとサインした紙を山に加えて重厚な机に突っ伏した。もう嫌だと 言って脱走を試みなくなっただけ進歩というべきだろうか。今ある山が 片付いたら褒めてやってもいい。 そう思った矢先に扉が開き、ツナわりーこれ追加な、山本が笑った。 その山を確認してもう一度机に突っ伏したツナの横に、今までの倍の 高さの山が築かれた。 「もーやだゲームしたいマンガ読みたいごろごろしたい」 伏した顔を上げようともしないツナの頭をポンポンと叩き、終わった分 持ってくぞー、と退室して行った。ボスと幹部の行動じゃねーぞ。 「ここ最近書類しか見てない気がするよ・・・。マフィアのボスってもっと こうドンパチやったりするもんなんじゃないの」 「やりたいか?」 「ナマ言いましたスンマセン!」 ひぃと慄き書類にペンを走らせるこいつが、就任して3年で2つの新参 ファミリーを傘下に置いたのだと、誰が信じるだろう。今追われている 書類だってその事後処理が主だ。 「まだまだダメツナだけどな」 「いきなりダメツナとか言うなよ」 へこむだろ、言いながらも手は止まらない。教育の成果に内心で少し ほくそ笑んで、この山が終わったらジェラートでも一緒に食いに行って やるかと思いつく。 今度は、追加の山はなかった。 |