「だって私は双忍だもの」

あなたに言い募った僕に、あなたはふわり笑ってみせた。その笑顔は いっそ誇らしげですらあって。久しぶりに会えたというのにかっとして しまいそうな自分を抑えるのに、随分と苦労した。
そんな僕に、あなたは申し訳なさそうな、幸せそうな笑顔で語る。

「この顔が私の素顔なんだと思っておくれよ。ねぇ庄左ヱ門。
 頭のいいお前だもの、わかってくれるだろう?」

えぇわかっていますよあなたとあなたの顔の持ち主は同じ城に仕える 双忍で、これからも一緒にいられるのだと卒業式の前日僕に報告すら しにきましたからねあなたは!
久しぶりに会えたというのに。本当に久しぶりだというのに。
あなたが今日まで生きてこられたことを、ただ喜びたいのに。
きっとこんな寂しさを抱えるのは僕のほうだけで、大切な人と一緒に いられるあなたはこんな思い、ちっとも抱えないのでしょう。
これ以上一緒にいても寂しさだけが募りそうで、僕はお団子の代金を 払い、早々に茶屋を後にした。残された先輩がどんな顔をしたか?  持ち主と同じ顔で、にこにこと空でも眺めていたのだろうさ!


思い出すあなたの顔が
あなたの顔じゃないなんて
寂しいです


こんなに切実なのに理解されやしなかった。