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甘 え て甘 や か し て |
鉢屋先輩、呼びかけると先輩はなんだか複雑そうな顔をした。以前 不破先輩が似たような表情をしているのを見たことがあったけれど、 これは真似ているのだろうか。それとも、一緒に行動しているうちに 自然と似たのだろうか。 「庄ちゃん、前は三郎先輩と呼んでくれたじゃないか」 「あれは乱太郎やしんべヱにつられただけです」 「鉢屋先輩、今日の仕事はこれで終わりですよね」 「彦ちゃんも」 半べそかいたような声を出す先輩に、僕と彦四郎は顔を見合わせて ため息を吐いた。この先輩、仕事に関してはすこぶる優秀なのだ。 それなのに、どうしてこう妙なところで子供っぽいのか。 「庄ちゃんも彦ちゃんも、私が甘やかす隙がなくて困ってしまうよ」 「甘やかして頂かなくて結構です」 「それと、僕らを変な風に呼ぶのはよしてください」 彦四郎よく言ったと、僕は内心で拍手を送った。庄ちゃんだなんて、 最近ではは組のみんなもそんな風に呼ばないのに。 「二人が私を甘やかしてくれたらちゃんと呼んであげよう」 出された課題に僕達は頭を抱えた。だって、年上の人を甘やかす? そんなの、どうしたらいいのかなんて皆目見当つかない。 うんうんと案を出しては却下してを繰り返していると、先輩が僕らを 後ろから抱え込んだ。よいしょとそのまま腰を落ち着けてしまえば、 僕らは先輩の膝の上に抱えられた格好になる。 「鉢屋先輩、これじゃ甘やかされてるのは僕らのほうですよ」 「うん、私に甘やかされてくれるかい、庄左ヱ門、彦四郎?」 自然と目が合った僕らは笑って、もちろんです、三郎先輩、先輩に 両脇からぎゅうと抱きついた。 |
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