相変わらずあの子の周りを風が取り巻いているけれど、惑わされずに 着々と歩を進めている。よかったよかったと背を向けると、雷蔵と目が 合った。私が次屋に声をかけたときから、ずっと視線を感じていたから 別段驚きはしない。
何か考え込む表情をしながら近づいてきた雷蔵は、鼻先三寸のところ まで歩み寄って私に尋ねた。あのこ、お前と同じものが見えてるのと。 おそらくねと、答えて私は思い出す。二年生になる頃までは、私もよく 誘い込まれていたこと。今ではそんなこともなくなったが。
どことなく不安そうにしている雷蔵も、あの頃のことを思い出しているの だろうか。迷い込む場所など、今の私にはありもしないというのに。






風の留まるところ
もっと強く縛って