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おかえり滝ちゃん、逆さまになった顔で喜八郎は私を出迎えた。疲れた 私に負けず劣らず土に汚れていることを厭わず寝転がる喜八郎を引き 起こし風呂場に連れて行く。毎度のことだが、私には敵わないにしても それなりに綺麗な姿をしているというのに全く頓着しないこいつが全く 理解できん。美しいは正義だというのに。 滝ちゃん疲れてる?、体を湯に浸しながらぼんやり問うてくる喜八郎に 肩まで浸かれと言いながら、今日の委員会活動を思い出す。たちまち 気が滅入った。本当にどうにかならないものかあの二人。今日はこいつ 先頭にしてみようと七松先輩が言い出したために、三之助はいつも通り 迷走し、四郎兵衛はいつも以上に口を開き、金吾は半べそをかきで、 楽しそうにしていたのは結局七松先輩だけだった。普段の活動と同じ 時間をかけて辿り着いた先が裏山のふもとだったのだから恐れ入る。 そんなことをこぼしていた私を浴槽に引きずり込みながら、じゃあさ、と 喜八郎は言う。がぽりと大きく息を吐いてしまった。せめてこれ以上は と呼吸を止める私の肩は喜八郎が押さえ込んでいて、肩まで浸かれと 言っているのに半身以上外に出ているじゃないか馬鹿者。滝ちゃんは どうだったの、今日。奇妙に歪む声に、水の中からどう答えろと言うの だろうか。ゆらゆらと揺れる姿を眺めながら、二度と御免だと思った。 |