言葉が足りすぎている



言葉にならない、というのは、こういう状態を言うのだろうか。
ぐるぐるぐつぐつと感情が煮立って溢れて渦巻いて、ああ何から表に 出せば良いものか。いや待てよ、そもそもこれは表に出したいような 思いなのだろうか? 言葉にしようとすればするすると零れてしまい そうで、それでも伝えたくて、伝えたいのだろうか、誰に?
どくんどくんと体中が脈を打ち、手は冷たいのに妙な部位が熱い。
言葉に、したいのに。誰に届かなくてもいい。ただこのひっくり返った 物入れのようになっているこの胸の内を、どうにかまとめてやりたい。 だのに、まとめようとすれば、それは形を変えそうで。
どうしたらいいのかわからないまま、それでも表に出ようとする感情が 私の意を無視してぼろりと、落ちた。
ああ、これはいい。まとめずとも出てくれるのならば、これほど簡単な ことはない。そうして全部、出尽くしてしまえばいい。こんな想いなど。

そうして全て流してしまおうと、ひたすら涙の落ちきるのを待つのに、 どうしてお前がそれを胸に吸わせてしまうのだ、なぁ、愛しき者よ。



汲み取ってくれるな