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落ちた葉で地面が色づき始めている。憎らしい。こんなものより彼女の ほうが美しいのに、木々が赤を全て落としてしまえば彼女もまた眠って しまうから、僕はこの赤を惜しまざるを得ないのだ。ああ憎たらしい。 冬なんて大嫌いだ。首元は寒いし肩は軽いし夜は眠れないし散々だ。 彼女のように温かい土の中で冬を越せないものだろうか。 ・・・・いや、できるんじゃないか? 土の中に隠れておく忍術もあるのだ、あれの応用だと思えば。 そうだ、きっとできるはずだ。ならば穴を掘らなければいけないな。僕が ぎりぎり入れるだけの穴でいい。場所はどこにしようか。なんだかとても 楽しくなってきた。憎らしい赤を蹴散らして、眠る場所を探すべく山中に 分け入った。彼女と二人きり、静かに眠れる場所がいい。 目の前にいきなり孫兵が出てきてびっくりした。なんだ驚かせんなよ。 とはいえ向こうも驚いたみたいで、馬鹿みたいにでかい眼をぐりぐりと 見開いて口をぱくぱくとさせている。全く、何してんだお前こんな薄暗い ところで、っと、そういえば最近お前がいないってみんな探してたけど、 良かったなぁ俺といりゃ帰れるよ、山ん中で迷子になるなんて仕方ない やつだなぁ孫兵は。そうやって話しかける間に空気が少なくなっている ことに気がついて、なんだここ穴の中か、とりあえず俺がいる場所確保 しよう狭い、と穴を掘り広げているうちにぼこりと空に穴が空いた。あ、 こっちが上だったのか。葉がすっかり落ちた森は視界が広い。 天井も空いたし出とこうぜ、とひとり先に穴から這い出て手を伸べると、 さっさと行けよと睨まれた。なんで。お前も一緒に帰るんだよっておお、 ジュンコいたのか。え、なにお前ら、冬眠中だったの? ふうん。 遠くから作の声がする。また土の中で丸くなろうとしていた孫兵の腕を 引っつかんで引きずり出して、足でさっさと穴を埋めてやった。ジュンコ お前はまた来年。おーいさくーこっちこっちーまごへーもいたぞー。 作と左門とそれからお前、四人で帰るの決定事項。 |