冬なんて嫌いだ



寝返りを打ってもぞもぞと身を起こそうとした長次は、絶望した。ふと 見えた己の息が真白く染まっていたからだ。これはだめだ冬になって しまった、なぜ冬は来るのだろうか、ああ寒い、こうなったら決してここ から出るものかと布団の中に潜り込むのに、暗澹たる気持ちの長次 とは正反対に朝早くから体を動かしていたらしい小平太が、勢いよく 襖を開けて長次にのしかかった。起きろ長次、もうすっかり朝だぞ!
布団越しにじんわりと染みてくる小平太の体温に、ここから出たくない という思いは増すばかりで、布団を掴んできゅうと丸くなった。長次は 寒がりだなぁと小平太は笑い、どうだ長次、私は温かいだろう、私が そばにいるのだ、寒さなど寄って来るまいと、ゆっくりと布団の上から 身を退けた。それに導かれるように長次ももそもそと身を起こし、名残 惜しそうに布団を見やりながら手早く着替えた。熱を分け与えるように ぴたりとそばにくっついていた小平太は、長次が腰帯を締めたと見る なりその背に飛びついて、よし行くぞ、と高らかに叫んだ。
廊下をのしのし進む途中じわじわと体温を移され、食堂に着く頃には すっかり温まったが、それでもお前の体は冷たくならないのだな、と、 どこかぼんやりと、長次は思った。



言い切れない原因