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守ってやらなきゃって感じ。 そうまとめた三之助の顔面に湯呑みを思いっきり投げつけてやりたいと いう衝動を押し殺して、僕はそう、とこいつの望むであろう笑顔を作って 頷いてやった。うんと三之助も頷いて、だってお前は確かに見た目ほど やわらかくないし、結構強かだし、体術じゃ負けなしだし、遠慮なく人の 急所とかツボとかついてくるし、と褒めてるんだか貶してるんだか判断 つかないような根拠を指折り挙げていく。そうして、でも、と繋いで、でも やっぱり優しいし、甘いし、やらかいし、俺らのこと、想ってくれてるし、 ほら今だって、こうやって俺の体に毒の耐性つけさせてくれてるだろ、 七松先輩に話したら羨ましがられたよ、私もお前くらいの歳からやって おけばなぁって、友人に毒を飲ませるのは、どこまでか安心かわかって いても難しいんだぞって、そう言って羨ましがってたよ、だからほんと、 ありがたいなぁと思ってんだ、俺、お前はすごいけど、強いけど、だから やっぱり、守ってやりたいなぁって思うんだ、と結んだ。 そう、ありがとう。微笑む僕に三之助も笑みを作る。目元を緩め、口角を 少しばかり上げ、静かに静かに笑う。笑みを浮かべる三之助の四肢は 力をなくし、今は手先と、首から上がようやく動く程度。そうなるように 毒を調合した僕に、三之助は笑いかける。毒の耐性、ねぇ。そういえば 最初にそう言って納得させたんだった。そうして日々少しずつ少しずつ 毒を飲ませて量を増やして、ねぇ、死なない程度にはしているけどさ、 そうやって、動けないのってどんな気分? 守るんだって。僕を。三之助が。ふふ、笑い出してしまいたい。 守ってくれるんだ、そう、ありがとう、でもごめんね、僕はお前のことが だいっきらいなんだ。 |