お前が死んだら、ぜんぶきれいにして、高く売らせてもらうから。
なにか決意のようなものをその真っ黒な両目に滲ませて、きりちゃんは 告げた。それってもしかして、友情のつもり、なのかなぁ。
この赤いくせっ毛も、できの悪い目も、そばかすだらけの肌も、貧相な 手足も、良質とはお世辞にもいえない衣も、みぃんな綺麗にだいすきな お金に換えてしまえるのだろう、きり丸ならば。商売上手、だもの。
でも、それはなんだかいやだなぁと、思って。
じゃあわたし、そんなことにはならないように、きりちゃんの知り得ない ところでひっそり死んでいけるように願っておかなくっちゃいけないねと 言ってみれば、きり丸は口を尖らせて、乱太郎は俺の友達なのに俺の 知らないところで死ぬって言うの、そんなの嫌だと駄々をこねた。だけど 知ってるところで死んじゃっちゃあ、お前に売られてしまうんでしょう?

あぁ、それなら。
ねぇきりちゃん、わたしが死んだらどこかひとつ、どれでもいいからさ、 この髪でも指でも目玉でも、なんだってあげるから、その手のうちに握り 込んでしまっておくれよ。一度手にしたものを手放すのは、おまえの、 どケチの精神にだって反するでしょう? それだけは、売らないでよ。
そう言ってみれば、でも必要なければ売っちゃうからなぁと答えられた。
へぇなるほどわたしは留守の間の布団や人数分以上の茶碗と同じく、 必要ないということだねこの野郎。



ロマンチストにあこがれて
(だって死んだからだの一部分ってもう乱太郎じゃないしさぁ)
(わぁ、さっすがきりちゃん合理的!)