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強く、なりたかった。先輩方をなぞるように、いや、それをも上回らんと するほどに強くある彼の人の隣に並び立つために。相変わらずの方向 音痴で彷徨う彼の人の手を引くために。心も身体も、強くなりたかった。 そうあるために己を磨くことが当然だと思って今日まで来たのだ。ねえ 先輩、僕は、強くなったでしょう。少なくともあの頃の、ただ我武者羅に 剣を振るうだけの泣き虫な僕からは遠ざかったつもりでいるのですが。 まだ足りないでしょうか。あなたが怪我をしたなら背負って医務室まで 運んで行くだけの力も、応急処置をできるだけの知恵もつきましたが。 もう背中は、見飽きてしまったんですよ、先輩。 いつになれば、どれだけ強くなれば、もう守られるばかりの小さく弱い 後輩ではないのだと気づいて認めてくれるでしょうか。それともこういう 考え方をするうちは、そうなることなど程遠いのでしょうか。 ねえ先輩、僕はね。もう随分と前からあなたから頼られたくて、あなたを 守りたくて、抱きしめてみたくて、仕方がないんです。 |