|
のっけから否定されて、は?と問い返すこともできなかった。間抜けなことに口を開けることもできず、目を少し瞠るだけに終わった。だのに、いや、だから、だろうか。聞こえていなかったとでも思ったのか(そんなわけがないだろうに)やわらかな声でもう一度、ゆっくりと、幼子にでも言い聞かせるように(想像してみた。これはひどい)ちがうよ、わかっているんだろうと、問いかけるように。今度は、は、と音が漏れた。ただし問い返すためじゃなく、むしろ嘲笑のような。お前なに言ってんの意味わかんねえんだけどばっかじゃねえ。そんな嘲笑。 って、あ、やばくね、こんなこと言っちまって大丈夫かよだってこいつが何歳かなんか知らないけど組頭って呼ばれてたからそれなりに偉いし強いし大人なはずだそんなやつが忍たまに嘲られてみろ殺されたっておかしくない、だってこいつは友好的とはいえプロの忍者だ、血も涙もない、感情などとうに捨てたはずの忍者なのだ、いつかこうなるべき、戦好きの城に仕えているそれがどうしたというんだそうでなくては何のための忍だ、戦をしないための忍、そんな発想もあるだろう現に今請け負っている仕事は直すことだ、でもそれだって何かが壊れていなくちゃ始まらないつまり壊れていないものに対して無力なのだ、俺は、頭の中を駆け巡った言葉の達した結論に足元が急にやわらかくなったような錯覚に陥った。がくりと両膝をついてしまいそうになるのを気力だけで堪えて、包帯で覆われていない片目がきゅううと笑みの形になるのを睨みつけた。ほうらちがったろう、きづいたのならこれからそういうことをいうのはよしたがいい、はっ、良識のある大人みたいな口を利くなよ。 強がっていないと崩れ落ちてしまいそうだった。そんなのできるわけがなかった。だってあいつを見つけなければいけないのだ。(もう気づいてしまったけれどそれでもそれだからこそ) |