鉢屋三郎はくノ一がすきだ。すきというより、それはある種の崇拝に近い。そうなれないと確信し、その愛らしさに憧れ、庇護欲をくすぐられ、同時にその強さも認め、そして、いくばくの嫉妬を向け、そういった思いをすべてまとめて彼は、すきだという言葉を使う。
さてここに彼に顔を貸す存在である不破雷蔵という男がいる。彼もくノ一がすきだ。鍛えられ引き締まった身体、敵を惑わす笑顔、内に秘める冷徹な心、そういったものが彼の目には好ましく映る。くノ一さんマジかっけー。
しかしここは学び舎である。上級生ともなればその実力はプロのくノ一に負けずとも劣らないといわれるが、あくまでたまご。くノたまはまだ子どもなのだ。酒が入れば顔の筋肉も弛緩する。
いま行われているのは、目的の情報を相手から引き出せたほうが勝ちとなる五年生の忍たま、くノたまの合同演習である。簡単に言ってしまえば酒は飲んでも飲まれるなという主旨だ。忍たま、くノたま、両者とも日頃は先生の目を盗んでちょっとたしなむ程度ですという顔をしていたが、次第にくノたまの顔は赤らみ、忍たまの声は大きくなった。まぁ酔ったふりをして相手の油断を誘っているのかもしれないし、と自身も酒にゆるんだ笑みを浮かべながら不破雷蔵は思う。しかし、酔ったふりだというならくノたまのそれは実に見事だ。赤らんだ頬、とろけた瞳、からまった舌、弛緩した体、そのどれもが男を誘っている。ように見える。実際くノたまは可愛いのだ。情報を得るため茶屋に潜入したら噂になってしまって実習を中止せざるをえなくなった事例があるほどに。いやぁ、かわいいねぇ。当然のように隣に座っている鉢屋に向かって、不破は話しかける。正直、くノたまならみんな抱けると思う。
不破がそう小さく呟くと、鉢屋の顔色がさっと変わった、ような気がした。本当のところは見えやしない。じゃあ。鉢屋もそれに応じた小さな声を絞り出した。抱いてくれりゃあいいだろう。不破は酒にゆるんだ笑顔のまんま、断る、と言った。



十年早いんだよド貧乳
もげてしまえ××××



だってお前、僕のことすきだろう。