中学校生活最後の夏休み、どこかへ遊びに行こうと持ちかけたけれど 雷蔵は結局一人旅を敢行した。北は北海道から南は沖縄まで、三郎を 探すための、旅だ。俺も同行したかったけれど家の関係で無理だった。 それでも付き添っていれば良かったと、俺にできるのは後悔ばかりで。

登校日、見つかったのかと声をかけることはしなかった。だって見れば わかる。たとえ横に連れていなくても、きっと。絶対に。
俺の目を見て、壊れかけの笑みを浮かべた雷蔵は、ころころと螺子が 外れたように言った。ねえ八左、思ったんだけれど、僕が三郎なんじゃ ないかしら。この体は三郎で、生まれる前に何か間違って僕がこっちに 入ってしまって、そのせいで三郎が出てこられないんじゃないかしら? だから三郎はどこにもいないんじゃ、・・・・・あれ、ハチ、三郎はどこ?
言葉の途中できゅるりとテープを戻したように目の色を変えた雷蔵の、 その目はまるで今が室町で、隣に三郎がいることが当たり前のような 色を浮かべて、いて。それでもその次の瞬間には、三郎はどこにいるの と現代に帰ってきた。そのことが余計に、哀れで。

なあ三郎、お前どこにいるんだ。
お前がいないと、こいつは一人なんだ、三郎。
俺がいたって、それは二人いることにはならないんだよ、なあ。



聞こえてる?