時の経過を示すように長い髪を持つ上級生は多いけれど、その中にも 髪の短い人はいる。学園長先生などは髪を結っていないし、下級生、 乱太郎くんなんかは特にそうだけれど、ほとんど髪を伸ばしていない 人もいる。けれど、きっと、これよりも短い髪を持つ人はいない。

櫛を通してもすぐにするんと抜け落ちる。短すぎて、ところどころピンと 跳ねている黒い髪。罪人のようなその短髪は、それでも息を呑むほど 綺麗で。自分の語彙のなさが悔やまれる。綺麗なんて言葉じゃあ到底 足りやしないのに。ああでも、やっぱり、とても、・・・・きれ、い。

この、愛すべき、ただでさえ短い髪を、さらに切れと言うのだ。
一本一本に別れを告げるように、丁寧に、丁寧に、もったいないと嘆き ながら鋏を入れる。シャキンと鳴る刃が恨めしい。
切った髪を持ち帰っていいだろうかと考えていると、髪を切るよう強いた 彼が、呆れた声で呟いた。




髪を切るたび泣くの止めませんか

だって大好きなんだ君の髪