竹左ヱ門! 大声でそう呼ばわれて、びくりと肩が跳ねる。まさかとは 思いながら、そんな名前で呼びつける人はたった一人しか存在しないと 理性が反論する。ばっと上を向くと、そこには窓から身を乗り出して笑う 七松先輩、そして傍らには立花先輩がいる。種類を異にする黒髪をもつ 二人は、あの時代とは違う見た目をしていたが、二重写しになった影を 見紛うはずもなくて。俺をそんなふうに呼んだからには当然記憶もある のだろうが、俺に記憶がなかったらどうするんだろう。あの人のことだ、 何も考えていない可能性もある。ああ、そもそも、俺に記憶がなければ 呼びかけに反応することもなかったのか。
会釈をすると、満足げに笑って立花先輩と二人、背を向けた。

それにしても。
保険のつもりで受けに来たけど、あの二人がいるならここに決めよう。 あの二人が会っていなくても、そこから辿れるかもしれない。あの二人 顔が広そうだから。
なんだ、俺らの探し方、全然甘かったんだな。
そう笑って、ぐっと拳を握った。まだ、見つけられる。まだ。
昔から筆記は好きじゃないが、今日ばかりは話が別だ。過去に繋がる かもしれないこの試験、全身全霊で臨もうじゃないか。


光を見つけることは得意なんだ

それは希望かと問いはしないが