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どさどさどさと、三郎はパンフレットの山を落とした。どうしたのと聞けば 本人はけろりとしたもので、私にかかったお声の数々だよ、と答えた。 この就職難の時代、内定一つとるだけでも大変なのが常だというのに、 本当にまぁ引く手数多なんだから。 呆れと感嘆と、優越感にも似た感情を覚えながらパンフレットを眺めて みると、善にも悪にも名高いような城から名前を聞いたこともないような 小さな城まで選り取り見取りだ。適当なところから一枚引き抜くと、ああ そこにしようか、と言った。あまりに適当な決め方だったので僕はいっそ 腹が立って、もっと真剣に考えろよお前の進路だろうと叱った。すると、 三郎はきょとんとした顔をして、君の進路でもあるだろうと言った。 は、と僕が息を漏らすと、三郎はゆるゆると笑って、私はまだしばらく、 君のそばにいたいからね、付き合ってくれよと言った。 それに僕も微笑んで、首を一つ縦に振った。 |