おにいおにいと私を出迎えた幹也は、後ろ手に隠していたものをぱっと 出して、おたんじょおびおめでとお!と言った。色とりどりの野草が添え られた小さな紙切れには、
「なんでもけん?」
覚えたての平仮名でそう書いてあった。読み上げると幹也は今までの 笑顔を曇らせてしょんぼりと俯き、だってわたし、おにいがうれしいこと わかんなかったんだもん、と呟いた。
その小さな頭をぽんぽんと撫でて、なんでもいいのかと尋ねれば、勢い よくばっと顔を上げて、なんでもするよと意気込んだ。ふうん、なんでも かぁ。さて何をしてもらおうかと声に出しながら、適当な願いを言うべく 考え込むのだった。


(ずっと私のものでいて)
(私を置いて行かないで)
(どうか思い出さないで)


そうだなぁ、じゃあ本でも読んでもらおうかな!