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三之助を、追って探して目を凝らして声を張り上げて、走る走る走る。 あの野郎、道なき道をまっとうな道だと思って進むのだから恐ろしい。 六年になって迷子のなり方にも磨きがかかりやがった。かくいう俺も 実習で索敵が早いと評価されたことを喜ぶべきか嘆くべきか。とにも かくにも、さっさと見つけて飯にしよう。そう思うのに、膝が笑う。息が 切れる。ちくしょう体力馬鹿め。足を止めると、どっと汗が噴き出した。 呼吸を落ち着け、流れる汗を拭っていると、脇から影がぬっと出た。 咄嗟に構えたが、三之助を背負った時友だと知れて警戒を解く。些か 背の高い後輩に負われた三之助はぐたりと脱力して目を閉じている。 眠っているらしい。悪いなと手を伸べ受け取ろうとしたが、時友が俺に 三之助を渡すことはなかった。このまま医務室に叩き込みますから、 大丈夫です。それに。 「先輩に謝ってもらうことじゃありません」 ぽけっとした笑顔で拒絶する後輩を、何も言えず呆然と見ていると、 体育委員と用具委員じゃ、体力が違いますから、と背を向けた。 遠ざかる二人分の影を見送りながら、未だに休息を求め続ける足が ひたすら恨めしいと、呪った。 |